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お題「図書館」「観葉植物」「入道雲」

お題「図書館」「観葉植物」「入道雲」

図書館のおかげで色々助かった。
舞台が一気に決まって、話が作りやすかった。
太陽が一生懸命にフル稼働している、七月も中旬、ほぼ全ての休み時間を図書館で過ごしていた。活字は最高の睡眠薬とは俺の弁である。好き好んで図書館に来てほんを読む奴の気が知れないな。ちなみにだが俺が読んでいる本は、ギネスブックで文字より写真がメインであるそれなのにたった五分で夢うつつである。あと二秒でノックアウトって所で不意に邪魔が入った。
「また寝てるね」
「あと二秒で本当に眠れる筈だったんだけど」
こいつは、忍者かいつも物音も気配もさせずに背後から唐突に声をかけてくる心臓に悪い。
人の安眠を妨げやがって。とか心の中で毒吐いていると。消え入りそうな寂しそうな表情になり。
「お本は読まないの?」
「今読んでるぞ」
「それは読んでるんじゃなくて見てるだけ厳密に言うと置いてるだけ」
ご丁寧に解説してきやがる、殆ど真実なだけに反駁できない、それにこの少女が弱々しすぎて反駁する気も起きない。
「どんなお本がお好き?」
この子もしかして覇気のない弱々しいいかにもお嬢様って感じなのにお喋り好きなのか。
めんどくさい、ここは、無視だ無視とこの少女から視線を外し窓の下に等間隔に置いてある小さな観葉植物を睨んでみる。
「ライトノベル?文学小説?ミステリー?漫画?」
めげずに根気よくも質問を繰り返す、毎時間図書館に足を運ぶからこの子は俺を本好きで趣味が合うとか勘違いをしたのだろうかそれはまずい、俺が本嫌いという事を証明しなければ色々と今後大変な事になる気がする。
観葉植物から少女に再び視線を戻すと。
「あーあれだな」
「どれ?どれ、どれ?」
やばいかなり興味深々だ無邪気で無垢な大きな黒曜の瞳を向けられて再び何も言えなくなる。こうなれば失望させない程度に本好きじゃないアピールをしよう。
「最近本に興味を持ったんだよだから何が良いとかさっぱりわからなくてだな……」
少女の瞳を覗き込んでみる、見た感じ失望はしてないようだ。これで解放される筈だと安堵した矢先耳元で悪魔の囁きを聞いた。
「そうなの?じゃあ私本好きだから色々紹介してあげるね」

――ナンダッテ?

彼女は俺の手を取ると俺でも名前だけは聞いた事があるような有名作品を薀蓄を交えて紹介してくれる。時折ネタバレを含むのか言い淀んだり、悲しそうな顔をしたり喜怒哀楽が忙しい顔芸を披露しつつ大きな図書館を手を繋ぎながら移動していく。
まぁいいか名前は知らんがこんな可愛い子が本を紹介してくれるんだったら全くの徒労という訳でもないだろう。
「お兄さん?聞いてます?」
少し立腹したように頬を膨らます。
ちょっと可愛いと思った。
そうこうしている間にずっと頭上を漂っていた入道雲はどこかへ行ってしまい、昼もそろそろ終わろうとしていた。
彼女もそれに気が付いたようで
「あ、そろそろ授業だね」
「そうだな」
「じゃあ行くね、明日も紹介したげるね、バイバイ」
「おう、じゃあな」
そうやって手を振って二人は別れた。
ん?明日も……反射的に約束してしまった、好きでもない本を明日も……。
さっきまで握り続けていた温かみの残る自分の右手を見ながら、たまにはこういう日があってもいいかなと結論付た。
「明日は、名前を聞こう」
そうして俺は、図書館を出た
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